配偶者の不倫相手への損害賠償請求について 【裁判事例】
こんにちは。
上三川の司法書士の市村です。
今回は、平成31年2月の最高裁判決における、離婚時における精神的苦痛の慰謝料を、
不倫相手に請求できないことについてのお話です。
事件の内容
夫はA(原告)、妻はB、夫の不倫相手はWとします。
① AとBは、結婚しているが、長い間性交渉がない状態。
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② BとWが仕事場で出会い、不倫関係に及ぶ。
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③ BとWが不倫関係を解消した後に、Aがそのことを知る。(婚姻は継続中)
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④ その後別居して、5年後に離婚の調停が成立
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⑤ AがWに対して不法行為に基づき、離婚による慰謝料支払いを求めて、訴えを提起。
判決の内容
離婚に伴う慰謝料の請求が認められるためには、
『当該夫婦を離婚させることを意図として、この婚姻関係に対する不当な干渉をする等して、
当該夫婦を離婚をやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情あるときに限られる』としました。
離婚による婚姻関係の解消は、通常夫婦間の協議によって決めるべきことなので
不貞行為があったことが無条件に離婚の原因であるとは判断できないといった考えかと思います。
今回のケースは、Aが不貞行為を知ったときには、BとWの不倫関係は解消していて、
その後4年の間同居を続けていたことも考慮されたのかと思います。
まとめ
今回の判決は、離婚に伴う慰謝料の請求についての判断であり
不貞行為に対する慰謝料は不貞行為の立証ができれば、いままで通り可能です。