相続放棄と信託の受益権 【信託手続き】
こんにちは。
上三川町の司法書士の市村です。
今回は、①親が委託者及び受益者②子が受託者及び権利帰属者として、
親が死亡した場合に信託終了として自宅を信託したとします。
そして、親の相続が開始した際に、子が相続放棄をしたら信託財産を取得できるかのお話です。
受益権は相続財産ではありません
受益権は、信託契約の内容にしたがって指定された者に移転します。
つまり、受益権は相続財産ではありませんので、子が相続放棄したとしても信託財産を取得できると考えます。
生命保険も同じように、相続財産となりませんので、相続人が受取人であれば相続放棄しても受け取れます。
※ 税法上は、受益権や生命保険はみなし相続財産となりますので、相続税の課税対象となります。
信託法に、
帰属権利者は、信託の清算中は、受益者とみなす。(信託法183条第6項)
とありますので、信託が終了した時点に受益権が権利帰属者に移りますので
子が自宅を取得できるとなります。
しかし、他の相続人の遺留分侵害額請求の可能性がある場合は注意が必要です。
遺留分制度を潜脱する意図での信託制度利用であり公序良俗に反し無効と判決されました。
(東京地裁平成30年9月12日判決)
不動産を信託する場合には、遺留分対策も考えることが重要です。
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