家族信託のデメリットとは
こんにちは。
上三川の司法書士の市村です。
家族信託・民事信託は、認知症対策や柔軟な財産管理ができる方法として、近年注目を浴びている制度です。
今回は、その家族信託におけるデメリットを3点ほど紹介したいと思います。
損益通算ができなくなります。
例えば、賃貸不動産を2戸所有していたとします。
不動産α 1000万円の利益
不動産β 500万円の赤字
そうしますと確定申告では、1000万円-500万円=500万円の所得として申告ができます。
または、ご自身の事業の赤字が300万円、賃貸不動産が1000万円の利益では、700万円の申告が可能です。
もし不動産αを信託された場合は、上記の損益通算ができなくなります。
身上監護は対象外
身上監護権とは、ご本人の治療、療養、入院手続きや施設の入居手続き等に関する法律行為ができることです。
もちろん、ご家族でしたらこういった手続きはできますが、信託における受託者には行うことができません。
その際には、成年後見制度をご利用されることになります。
事業承継税制が使えなくなります
事業承継税制とは、中小企業のオーナーが死亡した場合に、
後継者が非上場株式を相続により取得した際の相続税が免除される制度です。
株式財産を信託した場合は上記の制度が使えなくなります。
それは、株式の受益権は委託者である先代に、議決権は受託者の後継者に渡ります。(先代が議決権を50%超保有の要件に抵触)
ですが、事業承継税制の適用を受けるには、かなり厳しい条件があります。
家族信託に限らず、どんな制度には長所・短所がありますので
ご自身の最終的な希望を踏まえたうえで利用されると良いと思います。